ご存知のように前川國男はコルビジェに師事した数少ない日本人建築家の一人です。埼玉会館ではコルビジェというよりは前川の独自の価値観が現れている、と思っていましたが、今改めて見るとコンクリートの素材の使い方などコルビジェの作風に通じるものが結構あるんですね。個人的にはかなり再認識させられました。
埼玉会館といえばこの釉薬たっぷりの大型のタイルの外装です。東京海上ビルにもあるように前川はこういった色使いにかなりこだわりがあったようです。
この巨大な壁面。現在なら伸縮を恐れて水平目地を入れるところだと思いますが、そういったものはお構い無しの圧倒的な存在感の壁面です。コンクリートとの対比もいいですね。
県庁通りからの外観です。妙なオレンジ色のオブジェがあります。最近できたものです。県立図書館でも書きましたが、建築の価値を損なう役人の振る舞いには落胆よりも怒りを感じます。
ホールの水平に伸びたエントランスとその脇の大階段。素晴らしい造形ですが今となってはやや階高が低い印象がありますね。
同じ造形が大階段を上がったエスプラナードでも展開されます。両脇には象徴的な造形。大好きなアングルです。ここにも点字ブロックが無神経に配されています。もう少し考えて欲しいです。
ホールのエントランス。圧倒的な存在感の袖壁(挽き割り板を使ったコンクリート打ち放し)です。素晴らしいのがエントランスの上のスラブのデザイン。先端に行くに従って薄く見えるようにデザインされています。このへんはコルビジェのデザインの影響が濃厚ですね。ここに大きな梁を通したら雰囲気が台無しでしょう。全体は圧倒的な量塊感でありながら随所にスケールを砕いて小さくしています。設計者の力量を感じます。
もう一段上がった人工地盤(エスプラナード)です。ここは浦和駅から来た人達の溜まりになります。圧倒的な存在感のホール棟と奥のオフィス棟。ホール建築というよりは一つの都市です。この雰囲気もコルビジェの影響かもしれません。
このコンクリート製のスツールは小学校の催しで埼玉会館に来た時も確かにありました。50年近くここにあると思います。この座面のプッチンプリンのシロップみたいな質感も当時と同じです。どうやってメンテしているんでしょう。
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