2015年5月10日日曜日

林家花園(林本源園邸)に行きました

今日は午前中にベッドシーツの洗濯や家の掃除機かけやもろもろの掃除、それから朝ごはんを済ませてお昼過ぎから板橋の林家園邸を見学に行きました。日本でお世話になったランドスケープの先生に教えていただいた庭園で台湾の滞在中にはまず最初に見学したいと思っていた場所です。

観光ガイドにも紹介されていますので詳しい説明は省きますが、清の時代に福建省からやってきた林應寅氏が当地で財を成し、その息子たちの代になり、1874年に板橋に大邸宅と庭園を構えたそうです。その後の邸宅と庭園は新北市に寄贈され修復が行われましたが、清朝末期の建築や庭園が良好な状態で保存されているものは極めて少なくそういう意味でも貴重な庭園です。


庭園の入口にやってきました。周囲は板橋の活気あふれる商店街ですが、公園の周囲は少しだけ静かな落ち着いた雰囲気です。


現在は庭園の見学は無料です。しかもガイドさんの説明による園内のツアーがあります。受付の小姐にツアーに参加できるのかと訊ねると、今日は全て中国語だそうです。えーっと言う顔をしたら日本人か?と訊ねられてそうですと答えると少し待ってといって2時から日本語のガイドツアーを急遽行ってくれることになりました。ラッキーです!


受付の小姐に相談したのが1時20分頃、ガイドツアーの始まる場所までのんびり歩いていきます。この庭園はこういった壁で視線をコントロールして直線の通路の突き当たりにフォーカルポイントがあります。それにしても低潅木の刈り込みの明るい緑が気持ちいいです。


待ち合わせの場所です。東屋のようです。中国語のグループが2グループいます。


待ち合わせの時間までまだ少し時間があるので少し周りを歩いてみます。樹冠が大きく広がったバンヤンツリーです。暑い日には広大な木陰を提供してくれます。


これはどう見ても百日紅です。樹形がきれいです。設計に使いたいですね。と色々見て回っていると、先ほどの小姐と台湾人のニコニコしたおばさんがやってきました、ボランティアガイドの許さんを紹介してくれました。なんと私一人のために庭園を案内してくださるそうです。ありがたすぎて大恐縮です。


ということでツアーが始まりました。最初に案内してくれたのは順路の途中で見える大きな建物です。林家の庭園の横にある、林家の本宅の裏側だそうです。現在修復工事中だそうで、今年末には見学できるかもしれないそうです(工事が遅れるのは台湾の常ですが)。


最初に案内された庭園内の建物が林家の図書館です。子供の教育に熱心だった林家は本をとても大切にしていました。読書と言うより文化人が集まるサロンでもあったようです。


書庫から回廊を通って書斎(本読む場所)に来ると四角い池があり、対面に楽器を演奏する舞台があります。奏者が琴や笛を奏でる手元がよく見えるように手摺を少し下げているそうです。凝ってますね。


図書館の庭を出ると新しい庭になります。一つ一つ庭は塀で囲われていてある庭から他の庭が見えないように視線がコントロールされています。本当に屋外空間が巨大な部屋のように扱われています。イギリスの自然修景庭園やフランスの幾何学庭園とも決定的に違います。


庭が屋内空間のように設計されているので建築的な設計手法が普通に使われています。直線通路のフォーカルポイントにモニュメント、何度も繰り返し現れます。


来青閣です。身分の高い来客をとめてもてなす建物です。1階は広いホール、2階は気持ちの良いバルコニーと寝室が配されています。バルコニーの木造の架構が日本と少し異なっていて興味深いです。大きな庇とバルコニーを支えるためにレンガの組積造と木造の混構造です。


来青閣を斜めから見上げたところです。2階のバルコニーがぐるりと回っているのがわかります。これは全然別ですが、アメリカ南部のプランテーションハウスととてもよく似ています。風とともに去りぬの舞台ですね。高温多湿の気候では住宅の設計が似た回答を出す例ですね。


来青閣の隣の庭はこういった塀で仕切られています。上部は虹のカーブを模したそうです。


ここは来青閣に泊まった賓客が庭園の花を楽しむための庭だそうです。普通なら部屋からお花が見えたほうがいいと思うのですが、色々考え方があるんですね。


花園の入口です。低い土留めとご丁寧に小さな門まであります。とにかく屋外であっても屋内建築的な手法の連続です。


樹木の根が地表に露出しています。ちょっと不気味です。大安森林公園でも似たような感じの樹木を見たことがあります。これもデザインなのでしょうか?だとしたらマニエリスムですね。


この花園の奥に自然の岩のような壁があり、そこに次の庭への出入口があります。使っている石がどうも不思議な感じ訊ねてみるとわざわざ鍾乳石を採掘して運んできて壁にしたそうです。とにかく建設費は糸目をつけずに庭と邸宅を建設した様子が伺えます。


出入り口を抜けると反対側はこんな感じになっています。左側は檻で、ここで猿が飼われていたそうです。しかもこの絡まった樹木というか蔓に独特な世界観を感じてしまいます。


猿の檻の反対側には孔雀の檻があります。猿と孔雀を並べたときの発音は中国語で縁起の良い音に似ているそうです。この庭園自体がそういった一族の繁栄、富の集まり、立身出世などにつながりの言葉に関連付けた音のモティーフで埋め尽くされています。


大きな池にやってきました。池の周囲にはさまざまな東屋(フォリー)が配されています。


大勢の来客を迎えるための建物です。建物前の広場が色々な宴会の会場になったそうです。


奥には身分の高い来客を迎える為の場所が用意されています。建築は居住以外の用途としてその起源から接客がありますが、この建物もまさにそうですね。


最後の庭にやってきました。池とその周囲の通路、視線をさえぎる壁と漆喰とレンガの建築。十分に堪能しました。


空にかかる月と池に移った月を眺める為の屋上のある東屋です。全部見て回って1時間半。蒸し暑くてかなり疲れました。ガイドの許さんはもっとお疲れだったと思います。

お話を聞くとボランティアのガイドが好きで始めたとのことです。私の説明はいかがでしたか?と心配そうに訊ねてこられたのですばらしかったです、お伝えするととても嬉しそうでした。次は友達を連れてまた来ますので是非案内をお願いしますと話すと電話番号を教えてくれました。日本からの見学ツアーの際にはまた是非お願いいたします。

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