2016年4月5日火曜日

我參觀了國立臺灣大學醫學院附設醫院

清明節の連休を利用して新しく始めたことがあります。台湾の様式建築の見学です。台湾には日本時代に建設された優れた様式建築が数多く残っています。しかも台湾の人達によって解体されること無く、創建当時の状態を維持しながら今でも現役の建物として使用されています。

実は20年も前になりますがボストンに住んでいた時も様式建築の宝庫だったのですが、その空間に暮らすことに満足してしまって、主要な建築は帰国が決まってから大急ぎで見学して回ったという経緯があります。台湾には台北賓館など時期を限定して公開している建物もあり、時期を逃すと見られない建築もあり、そろそろ計画的に見学をしていこうと思った訳です。

幸いにも、同じように思う人達も多いようで台湾の様式建築はどこにどういうものがあるかWebsiteにかなり詳しい資料が掲載されています。ということで昨日は台北の様式建築でも評判の高い国立台湾大学病院の旧館(附設醫院)を訪ねてみました。


台湾大学病院旧館は台湾総督府により台湾病院として1912年に着工し1916年に竣工しました。その後台北帝国大学の附属病院となりましたが竣工当時から東アジア最大の病院だったそうです。台湾大学病院旧館は台北賓館(旧台湾総督官邸)の北側に建っています。この場所に立てるのですから国家の威信をかけた建築になるのは運命ともいえますね。


台湾病院の設計施工の時期は日本では東京駅の設計施工の時期から遅れること数年です。東京駅の設計で一世を風靡した辰野金吾の様式が色濃く反映されているようです。設計者の近藤十郎については詳しい資料がないのですが、大きな影響を受けていることが窺われます。

建物の外観は列柱とレンガ、石造の壁と装飾が組み合わせれて一つのスタイルを構成しています。ルネサンス、バロックに見られるようなジャイアントオーダーを用いずに一層分の柱で外観をまとめています。国立博物館とは対照的です。病院が権威の象徴ではなく国民を助けるものだとする発想があったのかもしれません。


個人的に気になったのはジャイアントオーダーは用いていないものの、建物の出隅部分の柱が2階から出現している意匠です。ブラケット様の装飾で受けを取っていますが、ここは1階から柱があってもよかったという印象です。


建物の竣工当時はまだ冷房設備がなかった為、日除けや通風に配慮した回廊が建物の周囲に設けられています。回廊の開口部に全て石造の装飾が設けられているのは当時としても非常のコストの掛かった設計だったと思います。迎賓館の裏ならやるしか無いということですね。


2階から伸びる柱を受けるために1階の窓の上は本当に凝った意匠になっています。片側二つのブラケットの上に複雑な庇を設け、その上に柱の基壇を載せています。


窓の上の装飾もおよそ日本というよりはベルサイユ宮殿のような爛熟した意匠を感じます。


2かいと3階の意匠も凝りに凝っています。窓の上のキーストーンの上にさらに円形の窓、密度が高過ぎです。


基本は2階の柱はイオニア式のオーダーですが、渦巻き模様だけでは足りなくて葡萄の房もつけてしまいました。そうすると柱の筋彫りと干渉するので柱の上1/3はモールディングをやめて葡萄の房を浮き上がらせています。


全体的に感じるのはレンガにしろ石材にしろエッジが非常にきれいなことです。これは施工のレベルが極めて高かったことにほかなりません。降雨の多さと自動車の排気ガスで石材がかなり汚れているのですが、エッジの美しさは全く損なわれていません。


建物正面中央はペディメントだけでは飽きたらず、さらに円形の窓を設けています。装飾に装飾を重ねていく手法で、このあたりは東京駅とはやや異なる印象です。設計者は台湾の道教寺院に触発されたのかもしれませんね。或いは台湾の国民に親しみやすさを感じてもらおうとしたのかもしれません。


正面の両側の塔状の部分は窓上のアーチが広がって柱の間を渡すアーチとなって反復されています。柱の形も円柱、角柱と実に様々です。


両翼の端部に意匠にも大きなアーチが用いられています。こういった意匠の反復はくどくなく安心して見ていられます。


車寄せから建物に入っていきましょう。車寄せの柱の意匠や配列も日本建築に通じる単純さよりも複雑さを全面に押し出している印象です。


様式建築では基壇の果たす意匠的な役割は非常に重要ですが、バリアフリーの観点からは障害にしかなりません。入口にはスロープや昇降機が設けられています。台湾博物館のようなシースルーのエレベーターがおしゃれですが、利用者の多さを考えるとこういった設計にさざるをえないのでしょう。


清明節の休日なので内部には入れないのではないかと心配していましたが、外来はないものの入院している患者さんもいるようでホールに入ることができました。利用者さんが多い平日よりもよかったかもしれません。壁のモザイクははとても有名だそうです。独特の色合いです。


奥に行くと中庭があり回廊が巡っています。平面規模が大きくなりがちな病院の設計において中庭は必須と言っていいですが、ここでも採光に役立っています。


中庭の様子です。高い湿度に配慮して1階の床が上げられ、地下階の窓が見えています。ここでも建物正面両翼の回廊と同様に開口部の枠は全て石造の装飾です。


2階に来ました。ホールの周囲は回廊になっています。こうやって見るとモザイクの色合いは気持ちをなごませてくれます。不思議な空間です。


天井は様々なリブ状の装飾があるものの全て白く塗装されています。こういった清楚な感じは日本建築に通じるものがあると思います。


この日はホールの周囲にはほとんど照明が点灯していませんでした。薄曇りでしたが自然光で落ち着いた空間になっています。単なる権威的な様式建築というのではなく、病院に来る患者さんの気持ちを和ませたり、落ち着かせたりする様々な配慮を感じました。意匠という衣を纏う前に建築としての設計の細かな気遣いに親しみやすさと温かさを感じました。


中庭の写真を取っていたらかなり大きなトカゲ君がこっちを見ていました。君もこの病院の住人なんだね。

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