2016年1月17日日曜日

選挙の投票と開票を見学しました

今日は台湾の総統選挙と立法委員選挙の投票日です。滅多に無いことだから見学に行くことを晨運社の先輩から教えていただき投票締め切りである午後4時少し前に投票所である中山國中に行ってみました。


中山國中の正門には何人もの警官が立っています。ちょっと緊張感があります。


正門を入ると案内があります。中山國中周辺が5つの地域に分かれていてそれぞれ投票会場が異なります。


投票会場の前に行ってみました。携帯電話(スマホ)は持ち込みが禁止されています。投票会場に入る前にスマホ置場に置いてから会場に入らなければいけません。


有効票と無効票の違いについて詳しい説明がなされています。台湾では投票は当選させたい候補者や政党に印を押しますが。この印は投票所でのみ用いられるもので個人の印鑑や母印を押すと無効になります。

ちなみになぜこの形の印鑑なのか、後で教えていただいたのですが、印なので捺印してすぐに投票用紙を折りたたむと乾いていない押印が別の場所に転写されてしまう可能性がありますが、その再左右非対称の印であれば押印と転写された印が判別できるからなのだそうです。色々考えてあるのですね。


外から投票会場を見てみました。日本と同じように投票箱に票を入れるようになっています。


投票会場を見た後で、中山國中のグラウンドでランの練習でしばらく走りました。4時になり投票が締め切られたので、投票終了後はどうなっているのかと見に行ってみたところ、晨運社のメンバーの陳さんがいて投票が締め切られた後は投票会場に入れるし、開票作業を見ることもできるとのことでした。日本では一般人が許可無く開票会場に入ることはできないはずです。とても驚きました。

せっかくの機会なのでランニングは終了して、開票作業を見てみることにしました。最初は総統選挙と選挙区の立法委員の投票の開票です。厳重に封印された投票箱が並びます。この開票の後に比例代表で政党名の書かれた投票の開票が行われます。


選挙管理委員と思われる人(マスクをした女性)が開票の方法について説明しています。実際の作業は管理委員とは別の作業者がおこないます。作業者は学校の教員や公務員などの中から選ばれるそうです。


最初に投票箱の封印を撤去します。かなり厳重に封印されています。


次に二重になっている投票箱の蓋を開けます。


投票用の入口の穴がある蓋も開けてどっさり票が見えています。これから票の集計が始まります。


投票箱の前に二人の作業者が付きます。一人が投票箱の中から表を取り出しても一人の作業者に渡します。この作業者がどの投票者がどの候補者に投票しているか判別して読み上げます。同時に立会人にも確かめてもらうために、確かにその候補者に投票しているかどうか立会人がわかるように票を掲げます。


票の掲げ方は作業者それぞれでスタイルが異なるようです。高く掲げる人、胸の高さで示す人など色々です。


作業者の候補者の読み上げに応じて、集計の担当者が集計表に「正」の字を書いていきます。非常に単純です。機械などは一切使いません。ひたすら読み上げられた名前を正の字で書き込んでいきます。誤って書き間違えたりすると立会人から大声で注意され、集計作業が一時中断し、訂正が行われます。投票者も作業者も自分で選挙をしているということを実感します。


各候補者の正の字は20ヶ(100人分)まで書き込めます。票が100に達すると記入欄の上に別の記入用紙を貼ってそこの正の字を記入していきます。


票が100に達して新しい紙を貼っている間に、投票用紙は100枚単位でまとめられて保管されます。非常にアナログですが作業者の方は動作に無駄がなくテキパキと作業していきます。


票の記入者を判断する人は票毎に記入者を読み上げて掲げ、それを集計用紙に正の字で記入していく人も読み上げられた候補者名を復唱しながら記入していきます。切りのいいところで休憩が入り声が出やすいように体調を整えます。

投票の途中経過は総裁選挙は民進党の蔡英文候補が投票前の予想通り、国民党の朱立倫候補を引き離しています。一方立法委員は無所属ながら民進党が推薦している潘建志候補と国民党の蒋萬安候補。一進一退の戦いです。ちょうどこの時は200票を超えて二人が同数で並んだところです。全くの互角でどちらが優位なのかわかりません。


休憩中なので投票のブースを見てみました。個人々々で仕切られています。日本と投票会場と少し似ています。


ある一定の割合で無効票も発生しています。どんな行為で無効になったかというと、まさに会場の外にあった注意書きそのままです。この無効票は全ての候補者に押印されています。母印を押印してあるものや投票者の個人の印鑑の押印などもありました。


開票集計作業が終わりました。取り出し忘れがないかどうか選挙管理委員が投票箱の底を立会人に向けて状態を確認してもらっています。


続いて立法委員の比例代表の開票集計です。その前に総統選挙と選挙区立法委員の投票箱を移動させます。どこまでも手作り感が一杯です。


台湾では比例代表ではなく全國不分區というようです。政党名を記入します。今回は投票できる政党が18もあるそうです。前回の立法委員選挙では5~6団体しかなかったそうです。


総統選挙や立法委員選挙と同じように投票箱の封印を撤去します。


同じように票の判別、読み上げ、集計が行われていきます。


反対側から見てみると開票の作業者のすぐそばに立会人が座っていることがわかります。その更に後方には警官が待機しています。


途中で他の会場にも行ってみました。外国の報道関係者が取材に来ています。


こちらの会場では総統選挙、立法委員選挙の開票が行われています。


こちらの会場は総統選挙、選挙区の立法院選挙がいずれも開票が終了しています。私がいた会場では選挙区では潘建志候補が国民党の蒋萬安候補に勝利していましたがここでは逆です。狭い選挙区なのに傾向に違いがあるようです。

どの投票会場も全國不分區の開票が始まり、結果が出るのは当分先なので、色々説明してくれた陳さんにお礼を言って自宅に戻ることにしました。


自宅では食事の準備や食事をしながら選挙特集を見ていました。私たちの台北第3選挙區ではどうやら蒋萬安候補が当選確実なようです。


総統選挙はかなり早い段階で民進党の蔡英文候補の勝利が決まり国民党の朱立倫候補が敗北を宣言しました。朱立倫候補は新北市市長だったのですが新北市の殆どの選挙区で民進党が勝利したのはかなり意外な印象でした。


記者会見も勝利を半ば見越して国際会見を開くなどスタートダッシュを意識した動きです。実際の相当の交代は5月20日で4ヶ月も先ですが、現職の馬総統と協力して一日も早く新しい指導体制を築いて欲しいものです。記者会見ではアメリカ人記者からアメリカとの関係やTPPへの加盟などについて質問がありました。TPPは加入の方向で検討が進んでいるんですね。


今回は総統選挙の得票数ではほぼ2倍、立法委員の議席でも過半数を取得できたそうです。総統選の勝利は確実視されていましたが、立法委員の過半数奪取は予想を超える勝利だったようです。台湾は景気や中国との関係など色々な問題に直面しています。その中で自分達で問題を解決していこうという民進党、蔡党首の姿勢には大いに共感できます。これからの台湾の政治の動きには大いに注目していきたいです。

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