臺中國立歌劇院はご存知のように外観も充分に特徴的です。竣工してから3年位は経っていますが、既に外壁の汚れがかなり目立ってきています。塗装ですから汚れは仕方ない、補修前提の設計ということでしょうか。
内部は曲線・曲面で構成された不思議な空間です。この規模でこの空間は迫力があります。
臺中國立歌劇院は単なる劇場建築というよりは地域の文化活動の拠点になるように設計されているようです。伊東先生お得意のパターンですね。最初にエレベーターで5階に上がります。
5階は劇場機能はなく、ギャラリーやショップ、カフェやレストランです。奥に伊東豊雄氏のオペラハウスのコンセプトを表現するインスタレーションの空間があります。体験型のギャラリーで予約が必要です。
体験時間まで1時間くらいあったのであちこち見学して回りました。ここは屋上です。劇場の舞台の上のフライタワーや様々な設備や構造を曲面の壁が覆っています。さらに足元にはグランドカバーがあって数年したらこの白い壁も植物で覆われてしまうかもしれません。
臺中國立歌劇院の周囲は都市計画的にも美しく整備されていて周囲のマンションも古典的なデザインで概ね揃っています。
屋上庭園から下階のレストランの庭が見えます。ここだけ見るとアメリカかイギリスみたいです。
屋上のペントハウスにはおしゃれなビアハウスがあります。
ナショナルブランドのビールではなく、イギリス風のエールを飲ませます。個人的にはペールエールにしてはちょっと苦かったです。
このビアハウスの一番の売りはここからの公園の眺めです。矩形のシンプルな緑地の周囲にマンションが並んでいます。セントラルパークの周囲に少し似ています。古典主義的な意匠に中にふわっと現れたオペラハウス、対比すればこれはグッゲンハイム美術館ですね。
インスタレーションの時間が来たので5階に降りていきます。このギャラリー的な売り場もなかなか面白いです。
内部の空間はこんな感じ。靴を脱いで巨大なビーズソファに身を沈めて幾何学的な映像に包まれます。2001年宇宙の旅みたいです。
うす暗くて空調も快適、ビールのおかげもあり、気持よくて一瞬眠りに落ちてしまいました。
帰りは5階から階段で降りてゆきます。どこまでも曲面で構成された空間は最初は違和感がありましたが、そのうちに独特な抱擁感があり馴染んできてしまいます。
2階の大ホールの入口のようです。演目が開催されるときはこのカーテンが開くのでしょうね。個人的にはこういった丈の長いカーテン(高さ7~8mはあります)は生地の伸縮が気になります。
エレベーターシャフトの周りにはかわいい丸い開口部があります。外から見えるあの小さな丸い窓です。
1階に降りてきました。伸びやかな曲面は洞窟のような自然の造形を感じさせます。上部の階と比べると意識的に高さを抑えたイメージです。
あちこちにこういった雑貨店があります。アート的な物が多いですが、そうでないものも結構色々売っています。台中の市民のみなさんからはオペラハウスと関係ないじゃないかという意見もあるようですが、オペラを見に来るだけではなくここに来ることが楽しい、そういう雰囲気を伊東先生は作りたかったのではないかと思います。今のところうまく行っているようです。
オペラというおよそ権威主義の象徴のような芸術と、一方でカジュアルな空間の組み合わせ、こういう組み合わせは世界でも珍しいと思います。自由で合理的な台湾らしい建築ともいえるでしょう。ずっと市民に愛される建築であって欲しいですね。
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