2015年11月28日土曜日

故宮博物院の至善園を散策しました

故宮博物院の収蔵品を鑑賞した後は、建物の外にある故宮博物院の誇る庭園である「至善園」を散策しました。至善園は中国伝統の造園技術を採り入れた庭園で、宋時代の庭園の景観を再現したものだそうです。文人たちが理想の環境で語らうさまを再現したということでしょうか。


至善園の出入口は2ヶ所あり、故宮博物院の建物近くからの出入口と建物からは離れた正面の車寄せ近くから入る出入口があります。今回は建物近くから入りました。すぐに2階建の松風閣という楼閣が現れます。


松風閣の2階からは庭園全体が一望のもとに見渡せます。庭園全体は約5,700坪あるそうです。池とそこに掛かる橋、幾つかの東屋が組み合わされていることがわかります。


建物の内部には琴を弾く設えがなされています。文人達がここで女人にことを弾かせてその音色を愛でながら思想を練ったということでしょうか。


中国式庭園というと清朝の庭園のように幾つもの箱庭的な庭園をつなげてその変化を楽しむ極めて人工的な庭園を想像しがちですが、至善園は自然の景色と文芸の世界を融合させようとする取り組みが見られます。そういう点ではイギリスの自然修景式庭園に通じるものがあると思います。


湖畔に建てられた碧橋渓の園亭です。屋根の形状は入母屋で詳細は日本のそれとは異なりますが全体的な風雅な雰囲気は日本建築に通じるものを感じます。


池には龍の形の噴水があります。こう行った造形は中国独自のものでしょう。


いたるところに鮮やかな赤橙色の花をつけた低灌木が見られます。矮仙丹です。台湾の都市部でも建物の周辺緑化や提案、街路の灌木などで非常によく使われています。日本でも使えるとずいぶん都市の景観が変わると思うのですが気候の関係で難しいようです。


洗筆池というそうで、書の大家である後漢の張芝が湖畔で書を書き、その筆を池で洗ったために家の水が真っ黒になったという故事にちなんだものです。水面が墨を流したように黒く静かに広がっています。中国の庭園も基本はこういった見立てが中心のようです。


池には見事な鯉や錦鯉がたくさん泳いでいます。漆黒の水に鮮やかな橙色の鯉が強烈なコントラストです。この日は快晴で日差しも強かったので余計にそう感じました。のんびり散策するにはもってこいの陽気と庭園の佇まいでした。

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