2015年11月12日木曜日

新竹の住宅地

今日は朝から新竹の住宅地の視察に行きました。ここは長い期間をかけて開発が行われているため、エリアによって設計の特徴が変化していく様子を確認することができます。


一番初期のエリアの街並みです。今から約20年前に開発されたそうです。どこか日本の街並みに似ています。停まっている車も日本車が多いので余計そう感じるのかもしれません。


住宅の入口周りもかわいい門扉が付いていてどことなく日本的です。厳しく背の高い門扉が備わった台北の住宅とはずいぶん違います。


実はこの門扉の向いた街路は歩行者専用の通路です。メインの道路からは階段を上がって入るので車は乗り入れることが出来ません。人が歩くためにデザインされた空間です。問題はこういった空間が殆ど使われていないということです。


車は門扉のある側とは反対側に設けられた車専用の通路から建物のビルトインガレージに入ります。このエリアは車通勤が一般的なので平日やおそらく週末も外出は全てこちら側の通路を利用することになります。

車と歩行者の分離というのは都市計画においてはモータリゼーション以降の普遍的な課題ですが、未だに解決されていません。車だけの通路はこのように無味乾燥な空間となり、歩行者だけの通路は日常的には使われません。いくらデザイナーが美しくまとめてもそこ歩いて楽しむ人がいないのです。


これは現在開発中のエリアです。車と住人は同じ道路を使用します。車はスピードを出せないように道路に起伏やクランク状の小さなカーブが設けられます。所謂ボンエルフ式です。


この方式にも問題があります。道路に沿ってガレージのシャッターがズラッと並んでしまい、シャッターが全て閉まっていると人の気配が極端に少なくなり、あたかもさびれた駅前の商店街のような雰囲気になってしまうことです。


道路にそって少しだけ緑化したからといって解決できる問題でもありません。結局、人と建物と車
、人が生活してゆくための要素をどのように組み合わせるかということです。台湾に限らずどの国でも住まいのコミュニティを設計する際にはいつも必ず直面する問題です。これを考え始めると出口がなく悩む日々が続きます。でも考えるしかありません。仕事ですから。

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