2013年3月12日火曜日

二川幸夫氏を悼む

二川幸夫氏が亡くなりました。建築写真家というよりは写真を通じて建築の解釈を試み続けた建築家といっていいと思います。二川幸夫氏の監修したGAは高価なので学生の身分ではなかなか買えませんでした。大学の図書館やゼミの書棚からその大きな本を取り出しては随分眺めたものです。

学生時代にたま(同居人)に誕生日のプレゼントで貰ったMario Bottaの写真集は今も大切に本棚の片隅にあります。10年以上前ですがRCの打ち放しの住宅を設計した時は安藤忠雄の写真集を買って型枠の割付を理解しようと写真を睨んでいたこともありました。


その後、晩年になって発行されたサヴォア邸の写真集を見て、その円熟した境地にまたまた感動してしまいました。個人的には二川氏の写真は図面であると思っています。直線はあくまで歪みなくまっすぐ、鉛直線はあくまでも鉛直です。

近頃はデジカメでお手軽にとっている写真も多く、建築写真でありながら歪曲収差があったりします。何よりもひどいのは安直な3点透視の写真です。3点透視は基本的に建築写真としては邪道です。写真でお金をもらうならば最低でもきちんとレタッチすべきで、本来ならばお金をかけてシフトレンズで撮影すべきです。巨匠の写真を論ずるのはそれだけで恐れ多いですが、二川幸夫氏の写真はそういったところが本当に美しく見ていてほっとします。

また一人硬派の建築人が彼岸の人となってしまいました。ご冥福をお祈りいたします。

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