2018年9月17日月曜日

去了「建築之日本展」展覽會

以前から行きたいと思っていた六本木ヒルズの「建築の日本展」、明日で終了なので慌てて行ってきました。六本木ヒルズに来たのもすごい久しぶりです。相変わらず迷路のような内部でいつ行っても好きになれない建築です。


美術館の入口です。いきなり入場まで40~45分かかると言われてしまいましたがここまで来たら仕方がないので怯まず並ぶことにしました。


日本のみならず海外でも評価が高い展示会です。いかにも建築家というようなおじさんから、若いアート大好き意識高い系の若いファミリーまで色々な人が並んでいます。


今日は同時開催で漫画雑誌の「週刊少年ジャンプ」の展示会もあるようでなおさら受付が混雑しています。ジャンプと建築、並んでいる人達の客層が全然違うのかと思いましたが以外にも大きな違いがありません。


「建築の日本展」では「三スケ割」があって、三角スケールを持っていくと入場料金が100円割引になります。あちこちで三角スケールを取り出している若者がいてなんとなく嬉しくなりました。いくらCADの時代でも建築はやっぱり三スケが無いといけません。


高速エレベーターで52階まで登り、さらにエスカレーターで会場に向かいます。


入口でまたもや大混雑。混んでいるので10人単位で入場規制がされています。


ようやく会場に入りました。こういった展示会に来るのが久しぶりでしかも自分の専門なので思わず気分が高まってくるのがわかります。

会場は日本の古来の建築から現代の建築までいくつかのテーマに沿って展示と解説がなされています。模型が多くてわかりやすいです。古来から現代までの建築を俯瞰していくとそこには古来の建築の持っていた明快さと力強さを感じずに入られません。


今回の展示の目玉である国宝の茶室「待庵」の復元原寸模型です。茶室内に入るには再び30~40分待ちです。喜んで待ちましょう。


待っている間にも様々な角度から待庵を眺められます。さらに52階の大きな窓からは東京の現代が眺望できます。待庵と現代の都市、この対比も良かったです。


躙口(にじりぐち)から茶室の中へ入ります。有名な床の間です。墨を塗り込んだ黒さが独特です。異質ですがどこか懐かしい感じです。要素が多いにもかかわらず落ち着きがあるのは素材の根底の価値観が揃っているからでしょう。料理の出汁と同じで日本人には「NO」と言えない包容感があります。


障子や小窓など繊細を通り越して貧しさすら感じますがそれが愛おしい魅力になっています。待庵はディティールに韓国の影響があるとも評されたりしますが、この雰囲気は紛れもなく日本のものだと思います。


待庵の魅力に敬意を評して一枚だけ記念撮影させていただきました。この空間の価値観を共有できる日本人に生まれてよかったです。


待庵の魅力に酔いながら以降の展示を見て回りました。これは丹下健三氏の自宅です。モニュメンタルな建築を手がける巨匠は住宅も住宅のようで住宅ではなく住宅の形をした別の建築になっています。フランス料理のシェフが作った日本料理みたいです。

今回の建築展を見て改めて感じたのは私にとっては建築は自然に対峙して構築されるべきものであり、水平と鉛直の要素からなるものへの憧憬です。日本古来の軸組造の魅力は何者にも代えがたいものがあり、そこが造形の中心になっています。
そういった点において現代建築の魅力は自分にとってはやはり谷口吉生です。伊東豊雄やSANAAのようなグニャグニャした造形は受け入れられません。藤森照信の世俗的な建築はもう論外に嫌いです。自然の造形を建築が模倣する必要はなく、ライトのように根本原理に於いて共感を示すべきものと考えます。
もう一つの、建築家の社会性です。伊東忠太の建築が大きく展示されていましたが、あれだけの教養がありながら祗園閣や築地本願寺のような建築を設計してしまうのを見ると建築家が「優秀だが変な人」と世間から思われてしまうと感じざるを得ません。フランク・ゲーリーなどはその最たるものです。建築家の社会性の欠如は建築業界にいるものとして心が痛みます。


色々なことを考えさせられる展示会でした。そういう意味ではとても刺激的で素晴らしい展示でした。海外でも開催してほしいですね。ヨーロッパやアメリカでこの展示会がどのように評価されるかとても楽しみです。

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